■登場NPC
・依頼人の住職
寺社の鐘楼の音が近所迷惑になるからと撤去してしまった住職。ある意味心優しい人徳家であり、除夜の鐘を聞く機会を失ってしまった子供たちにどうにかして日本古来から続く文化を体験させたいとダカラ・ボミー社長に相談した張本人。ダカラ・ボミー社長とは飲み友達という生臭坊主。シナリオ中に直接は登場しません。
・ダカラ・ボミー社長
PC達が務める大手玩具メーカーを一代で東証一部上場企業に育て上げたやり手。シナリオ中に直接は登場しません。
・出来内（できない）
PCたちの上長にあたる人物。非常にぼんくらで何の能もないが、社長にゴマをする能力だけは誰にも負けない。それだけで昇進してしまった生ける災害。シナリオ内では中年男性をイメージして表記しているが、PC達に合わせて年齢や性別は改変してOKです。
■オープニングセクション
雨が夜更け過ぎに雪へと変わる…そう、クリスマスイブ。世間はイルミネーションやらなんやらで煌めいているというのに、あなたたちは上司の出来内からニュープロジェクトを叩きつけられていた。
曰く。
「社長がねぇ～、ある住職に依頼されて、とっても乗り気なんだよぉ～」
「AIを搭載した、それはもう、すんごい玩具の鐘で、なんとなんと、スイッチ一つで108回キッチリ鐘を突いてくれるってわけ」
「今どきの子ってリアル除夜の鐘なんか滅多に聞けないでしょ？依頼人の住職さんもなかなかいい徳を積むよねぇ～」
「て、ことで、よろしくちゃ～ん！あ、大晦日より前に売り上げ目標100万個ね」
現在時刻は聖の6時間をとうに回っている。とどのつまり、深夜だ。あなたたちには社長直々にぶんどってきた業務の依頼ということもあり、このプロジェクトを断ったり離脱したりといった権利は全くない。
メインタスクA、Bをオープンします。
■デスマーチセクションのマスターシーン
マスターシーンは全部で4個あります。
1.発生タイミング：メインタスクCオープンの前
『納期はもうすぐそこまで』
なんとか出来内の要望を呑みこんだあなたたち。いや、こんな手の込んだ玩具だなんて聞いてませんけど！？とにかく納期はあと数日。それがデッドライン、なんせ売り上げ目標まで出されてしまっているのだから。
メインタスクCをオープンします。
2.発生タイミング：メインタスクDオープンの前
『妖怪1タリナイ現る！』
試作品完成！これが無事に動きさえすれば…。固唾をのんで試作品の動作チェックをするあなたたち。鐘が1回、2回……106回、107回……あれ？いつまでたっても108回目の鐘が鳴らない！どうしよう？！
メインタスクDをオープンします。
3.発生タイミング：メインタスクEオープンの前
『殺人未遂』
素材にこだわり、本物の金属で作り上げた渾身の試作品。これを社長のお子さんに試してもらうことになった。とりあえず今日は解散、報告までつかの間の休憩である。
翌朝。疲弊したあなたたちのプロジェクトチームに出来内が真っ青な顔で怒鳴りこんできた。
「あのね～ぇ～！社長のお子様が試作品で遊んでくれたんだけどダメだよ、これはぁ！」
「重くってさ～ぁ、鐘を手の上に落としちゃったらしいんだよね！」
「そーしたら、手をぱっくり切っちゃって！もー、大事には至らなかったもののそこそこ出血したらしくて大変な騒ぎだったそうだよぉ～」
「ダメじゃないか、こんな危険物を世に出したら」
「いいかね、これは殺人未遂だよ殺人未遂！」
「明日までに安全な玩具に作り直す！いいね！」
メインタスクEをオープンします。
4.発生タイミング：メインタスクFオープンの前
『売れ！売れ！大晦日フィーバー！』
晴れやかな顔でにこにこ笑顔の出来内が部署内に入ってくる。
「いやぁ～、よくここまでやってくれた。君たちは私自慢のプロジェクトチームだよぉ～」
「じゃ、あとはこの鐘の玩具にナイスな商品名をつけて、大晦日までに100万個売るだけ、だねっ」
「よろしくちゃ～ん！」
メインタスクFをオープンします。時間が許せばPLに鐘の玩具の商品名を決めてもらいましょう。特に決まらない場合、商品名は『除夜の鐘セレクション～AI鐘楼108～』になります。
■エンディングセクション
さて、この『除夜の鐘セレクション～AI鐘楼108～』（またはPLに決めてもらった商品名）、どうなったかというと…。見事、100万個の売り上げを達成した。酷い扇動広告とサブリミナル効果の仕掛けられたCMと転売ヤーの力を借りて、だが。それをよしとするか否とするかはあなたたちの自由だが、出来内も社長も依頼人の住職も大喜びだ。この後、ダカラ・ボミーがどうなったかは…神、いや、仏のみぞ知る。